養蜂講座

  

今回は強力な越冬群をつくるために大切な「秋の管理」についてお話しします。秋になると蜂群は世代交代をします。これまで懸命に蜂群を維持してきた働きバチたちは寿命を終えて死に、秋に誕生した若蜂のみが冬を越します。そして、越冬した働きバチたちは翌春に産まれる新蜂の保母群となります。つまり、「秋の管理」の良し悪しが越冬する働きバチの数を左右し、翌春の蜂群の強弱を決定することになるのです。

給餌で蜂群の強化(9月)
ミツバチは秋になると活気づき、産卵育児が活発化します。しかし、秋の花から分泌する蜜量は少ないので、給餌する必要があります。ただ、一部の地方では流蜜の多いところもあり、こうしたところでは貯蜜のために産卵圏が圧迫されることがあります。この場合は空巣脾を入れて産卵の強化を図lります。もし、空巣脾が足りない場合は、貯蜜を分離して産卵房を確保します。
給餌で産卵強化 各種給餌器

巣脾枠の整理(10月)
秋の気配が深まるとともに新蜂の誕生が減り、逆に死ぬ老蜂が増えて蜂群は縮小化してきます。こうなると、外側の巣脾枠はほとんど蜂がいなかったり、いてもまばらな状態となります。こうした空巣脾は引き上げ、蜂を密集させる必要が生じてきます。また、継箱を載せていた場合は単箱に整理します。
峰群の縮小にともない外側の巣脾枠は引き上げ、消毒殺菌して来春まで保存する。

空巣脾の殺菌消毒(10月)
引き上げた空巣脾は空巣箱や密閉された容器に移して保存しますが、これらの空巣脾には例外なくスムシの卵が産み付けられていて、やがて孵化して幼虫になり巣を食い荒らします。このため以下の方法で殺菌消毒します。
巣脾を食い荒らすスムシ。
殺菌消毒しないと保存中に巣脾をボロボロにされてしまう。
ドライアイスを使った巣脾の殺菌消毒法
平成16年度の改正農薬取締法施行により、これまで空巣脾の殺菌消毒に使用されてきた二硫化炭素が原則的に禁止されることになりました。多くの養蜂家や研究施設が新しい殺菌消毒法を模索していますが、今のところ決定的な方法が開発されていません。こうした中、栃木県の愛蜂家・小松さんが考案した「ドライアイスを利用した巣脾の殺菌消毒法」が、効果的な新方法として情報提供されました。まだ実験データは揃っていませんが、小松さんが実際に試したところ大変有効だったということです。平成16年秋、ミツバチフリークの渡辺さんが実験をしていますので、17年春には実験データを公表できると思います。
ドライアイス法の利点
1 二硫化炭素に劣らない殺菌消毒力がある。(高濃度なら卵も殺せる)
2 毒性がないので安全。(ミツバチへの悪影響がない・室内で作業ができる)
3 薬品でないので入手しやすい。(スーパーなどで購入できる)
4 作業が簡単。(ポリ袋を使うので巣箱を目張りする必要がない)
準備するもの
1 空巣脾・巣箱・継ぎ箱・隔王板
2 ドライアイス(スーパーなどで手に入るものは粉末状で1袋30円。販売店で購入すると1キロ550円)
3 大型のポリ袋(継ぎ箱を使用するので、厚みがあり丈夫な漬物用の袋がピッタリです)
4 巣脾を保存する容器(衣装箱や漬物用の容器など)
5 ホワイトテープ
ミツバチフリーク・渡辺さんによる「小松式ドライアイス殺菌消毒法」の実験
1 ポリ袋のコーナーを巣箱の幅に合わせて折り込み、マチを作ります。 2 ポリ袋を巣箱の中に広げ、巣脾を入れます。
3 継ぎ箱を上げ、隔王板を置きます。(二酸化炭素は空気より重いので下に溜まるため、継ぎ箱をします) 4 軍手をはめ、ドライアイスをのせます。(今回はスーパーで購入した3袋を使用しました)
5 袋を閉じ、テープで止め、フタをします。(約1時間半で気化しますが、このまま1日置きます) 6 箱から取り出し、袋の口を閉じ、そのまま容器に入れて完了です。

巣門の縮小(9月下旬〜11月初旬)
秋も深まり朝晩の寒さを覚える時期になると、蜂の数は最盛期の半分以下に減少します。こうなったら巣門に新聞紙や板、発泡スチロールなどをはめ込み縮小します。秋の彼岸頃には1/2くらいに狭め、10月には10cmくらいに、11月に入り霜が降りるようになったら3〜4cmに縮小して巣箱内の温度を維持します。
長野県富士見町で趣味の養蜂を楽しむ渡辺忠さんは、巣門の幅を自由に調節できる「スライド式巣門」を開発した。「いちいち詰め物を用意する必要もないし、スライドにスケールを書き入れたので微妙な開け閉めが簡単にできて使い勝手が良い」という。
「スライド式巣門」に関しての詳細はこちらをご覧ください

越冬貯蜜量(11月)
ミツバチは万単位の大群で冬眠することなく越冬します。そのため越冬中に消費する蜜はかなりの量に達します。越冬中に必要な貯蜜量は、冬の長さや蜂群の優劣・大小、越冬装置、気象条件などに左右され一様ではありませんが、標準的には各巣脾枠に貯蜜が一杯になっていれば問題はありません。冬の長い地域では外側に蜜枠を1枚ずつ加えれば万全です。越冬蜜の良否に関しては、巣脾枠に貯えられた蜜が最も良いのはいうまでもありません。もし、巣脾枠にハチミツが充満していない場合は、給餌して充満させる必要があります。給餌の時期は、女王に勢力のある9月半ばから10月初めまでが効果的です。この時期に給餌すると、女王の産卵が促進されるだけでなく、貯蜜が成熟して結晶することがなくなります。越冬直前に給餌すると、蜜が成熟しないまま冬に入ってしまうので、時には結晶してしまい蜂が蜜を吸えなくなり餓死することもあります。