「山小屋」といっても登山で利用する山小屋ではない。川村さんが自力で5年間かけて造った別荘のことである。田舎暮らしにあこがれていた川村さんは15年前、山梨県白州町に理想の場所を見つけ、ここに電柱と枕木をベースにした「山小屋」を建て始めた。ずぶの素人が図面起こしから始めて、材料の調達、基礎工事、土台作り、床張り、柱立て、棟上げ、左官、屋根葺きまで、水道・電気工事を除く、ほとんどを手作りしたという。

360坪の敷地にゆったりと建つ「山小屋」は、なんの違和感もなく白州の自然に溶け込んでいた。不用になった電柱や枕木に命を吹き込み再生させようという自然に対するやさしさが、こんなにも安らぎを感じさせる別荘にしているように思えた。

よく1人でやれましたねという問に、「1人では建てられませんよ。多くの仲間たちの手助けがあったから出来たことです。山小屋が出来たことはもちろんうれしいことですが、もっと大きな喜びは建てている5年間に、たくさんの新しい出会いがあって多くの友人や知人ができたことです」と笑顔で答えた。

電柱の名板がそのまま残る柱。
枕木を積み上げた壁からは電柱が突き出ている。

リビングでくつろぐ川村さんと信子夫人。川村さんは役所を退職した3年前から「山小屋」にいることが多くなったが、保育園の先生をしている信子さんは、週末ごとに小平の自宅と「山小屋」を往復している。

さて、養蜂の方は自給自足を目指す川村さんが7年前に始めたもので、当初は自宅で飼育していたが、山小屋生活が本格化した98年にここへ移動させた。

「残念なことに、今年は越冬に失敗して全滅させてしまいました。新たにスタートしようと養蜂家に2群頼んでいたところ、そのままにしておいた巣箱に分蜂したミツバチが入りました。それも2度も。来春は4群から40〜50s位の蜜が採れそうです」と内検作業にも力が入っていた。

川村さんのハチミツには「とど印のはちみつ」というラベルが貼られている。“とど”は、川村さんが横になる姿が海獣の「トド」に似ていることから、娘さんたちが付けたあだ名だということだ。糖度が82.2度(市販されているものは80度前後)もあり、いかにも天然ハチミツという濃厚な味がした。

川村さんの愛蜂情報