ビートピアを見てミツバチ飼育に興味を持ったという高橋秀行さん(41歳)は、2003年4月から趣味の養蜂を始めた。蜂文化の伝統が残る長野県大町市で生まれ育ち、幼い頃から地蜂(クロスズメバチ)やスズメバチの採取・飼育をしてきた経験があったので、同じ蜂の仲間であるミツバチも飼えるだろうと、なんの準備もないまま、いきなり種蜂を購入してしまったという。
ところがいざ初内検というとき、クロスズメバチ飼育では思いもよらないほど大量の蜂がブンブン飛び回り、ついには顔をめがけて突進してくるのにびっくり。これは少々勝手が違うぞと思い、本格的に養蜂の勉強を始めることにした。
元々、昆虫大好き少年だった高橋さんは、観察力と探究心が旺盛だ。飼い始めてから次々と出くわすミツバチの不可解な生態にすっかり魅せられてしまい、こうした謎を解くため通勤前と帰宅後の2回、ビーウォッチングをするのが日課となっている。
4月9日、種蜂到着。その夜、雪が降り、気温は氷点下に下がった。 ビールケースを台にして設置された真新しい巣箱。
高橋さんが購入した種蜂のデータ
種蜂の種類 イタリアン系優良交配種
峰群サイズ 3枚群
購入価格 2万3,500円(10枚箱入り)
購入先 大手養蜂会社

巣箱は玄関の南側5〜6mの場所(ブルーシートの下)に設置したが、これが大問題となった。玄関付近にいても蜂が次々と威嚇してきて、子どもたちが攻撃される危険が生じてしまったのだ。危険が少ない20mほど離れた東側の畑に移動することにしたが、一度に20mも移動すると蜂が元いた場所に戻ってしまうので、毎日50cmずつ何日もかけて移動させた。
新しい設置場所。
現在は自然分蜂と人工分蜂させた2群が加わり合計3群を飼育している。

研究熱心な高橋さんは養蜂関連書を読んだり、ネットを見て勉強するほか、6月に開催された「はちみつ蔵養蜂講座」へも参加。飼い始めてからわずか2ヵ月余りで、多くの養蜂技術を習得した。
養蜂講座で熱心に耳を傾ける高橋さん(写真左・中央、写真右・3人目)
蜂場見学でプロの仕事振りを見守る高橋さん(写真左・右端)

精密電子機器メーカーで研究に携わっている高橋さんは、仕事柄や持ち前の性格から「なぜだろう」「ほかに方法はないのだろうか」と物事を突き詰めていくようだ。早くも、そうした探究心が「人工花粉」の試作という挑戦となった。養蜂会社から購入した人工花粉を食べてみたところ、きな粉を蜂蜜で練ったものと判断、それでは自分でさらに高品質のものをつくってみようと「アミノ酸添加人工花粉」を試作したという。蜂の食いは良かったようだが、効果の方は今のところはっきりしていないようだ。
高橋さんの人工花粉作り
大豆を煎る ミノ酸タブレットと煎った大豆をミルにかける
アミノ酸を添加したきな粉 蜂蜜を加えてペースト状にする
トレーに盛り付け、巣枠の上に置く 1週間後の様子

ミツバチダンスの研究でノーベル賞を受賞した学者もいて、ミツバチの生態に関しては研究し尽くされているかのように思い勝ちだが、まだまだ未知の部分も多い。高橋さんのような研究熱心なミツバチフリークが日々のビーウォッチングを通して、新たな発見をする可能性も十分ある。高橋さんには第2のサラリーマンノーベル賞受賞者・田中耕一さんを目指して、これからも朝晩の日課に励んで欲しい。また、新しい飼育方法にもチャレンジしてもらい、ビートピアの読者に有益な情報を提供してもらえればうれしく思う。毎月送られてくる高橋さんからの愛蜂情報が大いに楽しみである。

高橋さんの愛蜂情報