今年はスズメバチが大量発生しているとの報告がされています。特に9〜10月の秋の行楽シーズンは、スズメバチが攻撃的になる時期と重なるため、刺症事故の多発が懸念されています。キャンプやハイキング、登山などに出かける人は、スズメバチの習性をよく理解し行動することで、刺症事故を未然に防いでください。

【オオスズメバチ】 25〜40mm 【キイロスズメバチ】 20〜25mm
日本に住むハチの中で最も大きなハチ。性質は凶暴で、毒性も激しい。刺症被害は9〜10月の繁殖期に多い。 スズメバチ類の中で最も刺症事故が多いハチ。刺症事故は9〜10月に多発する。


死に到ることもあるスズメバチの毒
スズメバチに刺されると、激痛が走り、数分後には刺された部分が熱をもちはじめます。10〜20分後には刺された部分を中心に腫れ上がり、時間が経つに従い腫れが広範囲に拡大します。腕や足を刺された場合、関節が曲がらないほど腫れ上がることもあります。アレルギー体質の人は、ショック症状による血圧低下で意識を失い、そのまま放置すると死亡する場合があります。


スズメバチは段階を追って攻撃してくる
外敵に対して巣を守る防衛本能が発達しているスズメバチは、巣に接近したものに対して激しく攻撃します。その攻撃行動は4段階に分けて行われます。
レベル1
偵察蜂による警戒
侵入者が巣の10m以内に近づくと、侵入者の周囲を偵察蜂が飛び回って警戒します。この時、侵入者が大きな声を出したりすると、巣の表面に多数の蜂が出てきて警戒体制を強めます。オオスズメバチの場合、レベル1からいきなりレベル3に移行する場合が多いので、この段階で速やかに避難するのが安全です。
レベル2
偵察蜂による威嚇
侵入者がさらに近づくと、侵入者にまとわりつくように飛び回り、大あごを噛み合わせて「カチカチ」という威嚇音を発します。
レベル3
巣への間接的刺激
に対する攻撃
威嚇を無視したり、巣に振動を与えるほど近づいたりすると、巣の中の蜂が一斉に飛び出し攻撃を開始します。
レベル4
巣への直接的刺激・
破壊に対する攻撃
巣への直接的刺激や巣を破壊した場合、威嚇行動なしに一斉に攻撃します。興奮状態にあるため、噛み付いたまま何度も刺したり、多数の蜂が侵入者を執拗に追いかけ攻撃を繰り返します。

遭遇時の注意
野外活動時には
薬を携行する
野外活動をする時は緊急事態に備えて、抗ヒスタミン剤入りのステロイド軟膏を携帯する。
巣や蜂を刺激しない 家の軒下など日常の生活範囲に巣がある場合は、巣の近くで大声を出したり、強い振動を与えないように注意する。
白色系の衣服を
着用する
スズメバチは黒色を攻撃する習性があるので、白っぽい服装をする。ヒラヒラするものや純毛製の衣服、香水やスプレー、虫除け用超音波発信機は、蜂を刺激する原因となるので避ける。
静かに避難する 野外で偵察蜂に遭遇した場合は、頭(黒色)を隠して、低い姿勢でゆっくり静かにその場を離れる。
手で払わない 蜂の攻撃を受けた場合、手やタオルなどで急激に払うと、余計に蜂を刺激することになり危険です。とにかく現場から遠ざかるのが最もよい方法です。


刺された時の応急処置
スズメバチの毒はタンパク質類のカクテルが主成分で、ミツバチやブヨ、蚊などの毒性(蟻酸)とは異なります。そのため蟻酸を中和するアンモニアを塗っても効き目がありません。適切な応急処置を施し、心配なら病院で治療するのが一番です。
患部から
毒液を除去する
できるだけ速やかに、口や市販の吸引器具を使って毒液を吸い出す。スズメバチの毒は水に溶けやすいので、水で洗い流すのも効果的です。こうすることで、体内に回る毒成分が減り症状が軽くて済みます。
毒成分を
不活性化する
刺された直後に、タンニン酸軟膏、タンニン酸アルコール、渋柿の汁を塗ることで毒成分を不活性化することができます。
氷で冷やす 刺された部分が熱をもち腫れてくるので、氷か冷水で冷やす。冷やすことで痛みも和らぎます。
抗ヒスタミン剤を
塗る
抗ヒスタミン軟膏か副腎皮質ホルモン軟膏などを塗る。
病院で治療する ショック症状や痛み、腫れがひどいときは、一刻も早く病院へ行き治療する。