「ミカンの花が満開だよ」という誘いを受けて、2003年5月18日、神奈川県平塚市の養蜂家・芹沢勝男さん(59歳)を訪ねた。芹沢さんは養蜂歴30年、採蜜用65箱、ポリネーション用30箱を飼育している。ところが本人はプロの養蜂家ではないと言い張る。今は大手香料会社に勤務する傍ら、週末に養蜂を楽しんでいるというから、確かにアマチュアといえる。
しかし、これだけの群数をたった一人で、それも週末だけで管理するのはプロでも並大抵のことに違いない。そんな気持ちを察してか「4〜6月は忙しいから有給休暇をとって、近くに住んでいる兄貴にも手伝ってもらっているんだ」と話す。さらに小声で「蜂は好きじゃなければやれないよ」と一言付け加えた。
いくら蜂好きでも65群とはの質問に、「なにもしなくても増えちゃうんだよ。増えすぎて困っているんだ。給餌なんて一度もしたことがないよ。秋になると貯蜜枠が、破裂しそうにパンパンになってしまうんだ」という答えが返ってきた。
趣味で養蜂を楽しむ人たちが飼育に四苦八苦しているのに、「なにもしなくても増えて困っている」という答えに半信半疑の記者は、早速蜂場に案内してもらい秘密を探ることにした。

蜂場は自宅から車で15分ほど離れたミカン山にあった。ここのほかに3ヵ所あって、それぞれ15〜20箱を置いているという。ちょうどミカンの花が咲き始め、ミツバチたちが元気よく花蜜や花粉を集めていた。
ミカン山の蜂場からは湘南ののどかな田園風景が望める。芹沢さんは週末には、お弁当を持って一日中、蜂場巡りを楽しんでいるのだという。なんともうらやましい話である。

燻煙器で煙を吹きかけ、巣枠を引き出し、蜂をふるい落として、残った蜂をブラシでかき落とす。一連の作業は流れるようでまったく無駄がない。さすが養蜂歴30年の仕事振りだ。
取り出した貯蜜枠は上部1/3に蜜蓋がされ、採蜜するには理想的な状態である。

蜜蓋を切り、分離機にセットし、蜜を搾り出す作業も素早く見事である。

採れたてのミカン蜜は透明感があって美しい。失礼して一口舐めさせてもらったが、香りも味も申し分ない一級品であった。

蜜源植物に恵まれたこの辺りは、早春のウメ、ナノハナに始まり、春の盛りのサクラ、初夏のアカシア、ミカンが次々に咲き、そのつど貯蜜枠が一杯になる。定地養蜂にも関わらず芹沢さんのハチミツの種類が多いのは、そういった理由による。
今春、芹沢さんが採蜜した百花蜜、レンゲ蜜、アカシア蜜、ミカン蜜、サクラ蜜

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