レンゲツツジが満開を迎えた2003年6月8日、長野県車山高原の養蜂博物館「はちみつ蔵」で「第5回養蜂講座」が開催された。趣味の養蜂を始めて日が浅い人や、これから養蜂を始めようとする人たち13名が参加して、ビデオ講座、養蜂具解説、ハチミツ味比べ、蜂場見学、キャンドル作りなど、内容豊富な体験講座を楽しんだ。

会場となったペンション「ぎんのさじ」と付設の養蜂博物館「はちみつ蔵」

6月上旬、車山高原はレンゲツツジの朱色に染まる。7月になると一転してニッコウキスゲの黄色一色となる。

「はちみつ蔵養蜂講座」を主催する山崎さんご夫婦
数十年にわたり趣味の養蜂を楽しんできた山崎さん夫婦は、少しでも多くの人に養蜂の楽しさを伝えたいと毎年6月と9月に養蜂講座を開催している。

参加者プロフィール
田中信正さん 田中寛一さん
はるばる山口県から参加した田中信正さんは、JRを定年退職したのを機に、
今年4月からミツバチ1群を飼い始めた。現在は分蜂群を収容して2群に増え、採蜜も経験したという。養蜂書やインターネットで勉強しているものの、飼育作業の細かいことが分からず、今回の参加となった。「養蜂の魅力はなんといってもミツバチの健気さ」という山口さんには、わき目もふらず働き続けるミツバチと黙々と列車を運行してきた自分の姿が重なるのかもしれない。
お兄さんの信正さんと一緒に参加した田中寛一さん(57歳)は、お兄さんの養蜂を手伝いながら飼育方法をマスターして、数年先に定年したら自分も始めようと考えている。ただ、団地住まいなので近所迷惑にならないかが、目下の悩みだという。

三塚芳明さん 2年前に脱サラしたフリーの経営コンサルタント・三塚芳明さん(50歳)は、東京・目黒区の自宅の庭でミツバチを飼ってみたいと考えている。田舎暮らしで自給自足の生活をしたいと思っていたが、どっぷり田舎に浸かってしまうにはまだ少し早いような気がしている。そこで発想を転換して、「都会で田舎暮らし」を実践することにし、手始めに場所を取らない養蜂から始めるつもりだ。

若い頃から自給自足の生活が夢だったという小松 訓さんは、念願が叶って長野県・富士見町に1600坪の土地を手に入れた。広々とした敷地内で日本ミツバチを木胴に入れて飼育する昔ながらの方法で養蜂をしたいと考えている。 小松 訓さん

近藤勝俊さん・中川三知代さん 愛知県から参加した近藤勝俊さんは、養蜂家のおじさんの手伝いをしていて養蜂に興味を持ち、自分でも飼ってみようと思っている。いろいろ勉強したが、本からの知識だけではよく分からないことが多く、実際に体験できる養蜂講座に申し込んだという。一方、ハチミツ好きの中川三知代さんは、大好きなハチミツがどんな方法で集められるのか知りたくて参加した。

埼玉県所沢市の田原光明さん(63歳)は、お姉さんから送ってもらったハチミツのおいしさが忘れられず、自分でもあんなおいしいハチミツが取れたらいいなぁと思って、自宅の庭で養蜂を始める計画を立てている。 田原光明さん

長野県大町市の高橋秀行(41歳)さんは、子どもの頃から昆虫が大好きで、クロスズメバチやカブトムシを飼育してきた。今年4月からミツバチ飼育を始めたが、これまで飼ってきた昆虫に比べて格段に複雑な社会性を持つミツバチに知的好奇心を刺激されている。今ではすっかりミツバチフリークになってしまい、出勤前と帰宅後に巣箱を覗くのが日課となり、欠かさず「養蜂日記」をつけるほどになったという。 高橋秀行さん

友野 薫さんご一家
神奈川県逗子市の友野 薫さんは、定年を迎える来年から自宅の庭先でミツバチを飼いたいと思っている。大手家電メーカーの技術者を続けてきた反動からか、自然と戯れる生き方に強いあこがれがあり、「自給自足」「自然と遊ぶ」「食の大切さ」の3つを満たしてくれる養蜂は、友野さんの条件にぴったりだという。一緒に参加した奥さんは「主人はなにを始めるかわからないので、監視するつもりで来ました。住宅地なのでご近所への迷惑が心配です」と、帰ったらすぐにでも始めるというご主人の夢に一抹の不安を覚えているようだった。

長野県原村の石倉典明さんは、友人の紹介で老養蜂家の手伝いをすることになり、ミツバチに触れている間にすっかり養蜂の魅力に取り付かれてしまった。将来は養蜂家を目指していて、今月中にも老養蜂家から1群を分けてもらい自分のミツバチの飼育を始める。 石倉典明さん

養蜂講座1日目は、テキストとビデオによる講習から始まり、次いで実物の養蜂具を前に目的や使い方を学んだ。次いで、10種類以上のハチミツの味見を体験した。
テキストによる講義 ビデオによる講義
本物の養蜂具による講義
はちみつ蔵で常時そろえている10種類以上のハチミツを味比べ

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