レンゲが満開の2002年4月29日、山梨県の養蜂家・武川洋明さん(50歳)を訪ねた。趣味が昂じて養蜂家になった武川さんは、本業の不動産業の傍ら休日はミツバチの世話に汗を流している。11年前に巣箱1つから独学で養蜂を始めたというが、真面目に養蜂に取り組む武川さんの「みつばちの巣」ハチミツは本物志向の消費者の評判を呼んでいる。口コミで年々愛好者が拡大し、今では30箱以上を飼育しているが、需要に追いつかないほどだという。

山梨県玉穂町のレンゲ畑に置かれた武川さんの巣箱。昭和30年代には日本各地で見られた光景だが、今ではほとんど見かけることがなくなった。

レンゲ畑の蜂場では働きバチたちが花蜜を求めて元気よく羽音を立てて飛び交っていた。暖冬はミツバチにも影響を与え、甲府盆地でも1月に産卵があったという。レンゲの開花期に2段の強群に仕上がった蜂群は、例年以上に質のよいハチミツをたくさん集めそうだ。

この日、玉穂町では10回目を迎える「れんげ祭り」が行われ、県内各地から家族連れが大勢集まり賑わっていた。イベントやアトラクションが行われる「ふれあい広場」の入り口に直売所を出店した武川さんにお話しを伺った。

真っ黒に日焼けした武川さんは開口一番、「食は命です。食べ物はすべて自然でなくてはなりません。最近はありとあらゆる食品が工業的に生産されていて、本来の味と栄養を失ってしまいました。少々高くても健康のことを考えたら本物を口にして欲しいと思います」と熱く語り始めた。
武川さんが食への関心を持ったのは、10数年前に仕事のストレスから体調を崩したのがきっかけだった。薬に頼っていては本当の健康は取り戻せないと悟り、農業を営むご両親が作った米と野菜に切り替え、甘味料は自分でと思い養蜂を始めた。自分で採ったハチミツを食べるようになってからは特に調子が良く、健康な毎日を過ごしているという。

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