ハチミツは何種類あるのでしょう。4〜5種類くらいかなと思われる人が多いのではないでしょうか。確かに、商品として市場に出回っているのは、レンゲ蜜やアカシア蜜、ミカン蜜など数種類に過ぎません。しかし、ハチミツの分類は蜜源の花によって行われますので、蜜を出す花の種類と同じだけあるというのが正解といえるでしょう。

では、なぜ梅や桜、スミレ、クロッカスといった身近な花の名前が付いたハチミツが売られていないのでしょう。それは、市場に出回るほど採れない、採蜜するのに手間がかかる、それほど味がよくないなどの理由からです。つまり、「量が採れて、味がよくて、採蜜しやすい」数種類のハチミツが流通しているわけです。ここでまた新たな疑問が生じてきます。同時期に色々な種類の花が咲いているのに、単一の花の蜜が採れるのはなぜだろうか、ということです。ここに、「訪花の一定性」といわれる、ミツバチの神秘のひとつが隠されています。ミツバチは、一つの花に通い始めるとその花が終わるまで、決して他の花には目もくれず、通い続けるのです。養蜂家は、ミツバチのこの性質をうまく利用して、特定の花が咲いている間、こまめに採蜜するという方法で、単一のハチミツを生産しているのです。それでは、日本で販売されている代表的な国産ハチミツの特長をご紹介しましょう。いろいろな種類のハチミツを味わって、好みのハチミツやハチミツの特長を生かした使い方を発見してください。



レンゲ蜜
レンゲの花から採れる日本の代表的なハチミツで、生産地は鹿児島から福島まで広い範囲に及んでいます。透明感のある薄い色、やさしい香りと上品な味が多くの人から好まれ、ハチミツの王様ともいわれています。クセがなく、どんな飲み物や料理にも合います。近年、レンゲ畑の減少に伴い、生産量が激減しており、価格は高騰気味です。

アカシア蜜
白い小さな花が房状に咲き、藤のように垂れ下がるニセアカシア(和名・針えんじゅ)から採れるハチミツで、生産地は本州から北海道にかけて広範囲です。レンゲに似た上品な味と結晶しにくいのが特長です。色は極上品の場合はレンゲ蜜と同じく透明感があります。クセがなく味がよいので、料理全般に向きます。比較的生産量が多く、レンゲに代わる高級品として愛好されています。

トチ蜜
山地に自生するトチの花から採れるハチミツで、主な生産地は中部以北の山岳地帯です。淡白な味とハチミツらしい高い香りが特長です。色はレンゲやアカシアに比べると黄色味が強くなります。お菓子やパン、デザート、飲み物、ソース類に向いています。いかにもハチミツといった色と味、香りが、ハチミツ好きに愛されています。

ミカン蜜
ミカンの花から採れるハチミツで、みかん産地の静岡や和歌山、広島、九州などが生産地です。みかんそのものの味や香りが楽しめます。色は濃い黄色をしています。ほのかな酸味があり、ヨーグルトや紅茶、サラダ、デザートによく合います。くつろぎのティータイムには欠かせないというファンも多いようです。

ソバ蜜
ソバの花から採れるハチミツで、全国の山間地が主な生産地です。黒に近い茶色をしており、これがハチミツかと驚く人も多いようですが、色が濃い分だけミネラルが豊富に含まれています。色が濃く、味や香りにもクセがあり、日本人好みのハチミツとは言い難いのですが、欧米では、こうしたクセの強いハチミツが好まれています。栄養価の高さと独特の味と香りから、ハチミツ好きを自称する人に人気があります。

百花蜜
いろいろな花の蜜がブレンドされたもので、あたかも、お花畑にいるような気分にさせてくれるハチミツです。採蜜された場所と時期によって、味も香りも色も異なります。厳密にはハチミツの種類としては分類できないのですが、ミツバチたちが食べているハチミツそのものといえます。比較的値段も安いので、ハチミツ漬けなどに大量に使うのに適しています。